コロニアデルサクラメントからアルゼンチン ブエノスアイレスまではフェリーで45分。フェリーに乗り込む前に出国と入国手続きを同時に済ませてから出発。フェリーは豪華で中に免税店まであります。
船のテレビでサッカーを眺めていると、なんとコマーシャルにオンラインポーカー最大手のポーカースターズが現れたではありませんか!アルゼンチンのポーカーシーンはどうやら期待できそうです。
さて、カジノへ行く前に、この国の厄介な通貨事情をご紹介せねばなりますまい。アルゼンチンは2001年に経済破綻し、デフォルトに陥っています。その後2014年にも再度デフォルトに陥る事件があり、アルゼンチンペソの信用力は非常に低い。
何しろ、お隣の友好国ウルグアイですらこの両替レートの開き。ウルグアイペソとアルゼンチンペソを売り買い一往復させるだけで63%まで減るという酷い扱いです。
そのため、アルゼンチン国民ですらペソを信用していません。貯蓄のためには、必然的にみんながメジャー通貨、特にUSドルを求めることになります。しかながら銀行でのUSドル変換には厳しい制限がかけられています。
そこで登場するのが闇両替。恐ろしげな響きではありますが、つまりは街角での実勢レートによる両替です。
公定レート : 1 USドル = 8.94ペソ。
実勢レート : 1 USドル → 12.20ペソ、12.65ペソ → 1 USドル
約1.4倍。かなりの開きですね。クレジットカード使用やキャッシングは、当然公定レートが適用されるため、かなり不利。これがアルゼンチン旅行には米ドルのキャッシュを持って行けと言われる所以なのです。
ポーカーはペソでしかプレイできないということで、僕らも闇両替のメッカ、フロリダ通りにやってきました。1kmの通りを歩いていると、50人ぐらいの闇両替商に声を掛けられます。カンビオカンビオ。
通りの真ん中にキオスクのような本屋がありますが、実はこの中も両替所だそうな。ここなら人通りの只中で安全そうな雰囲気です。1,000USドルをペソに換えて、軍資金を無事入手。
さあ、いよいよカジノに向かいましょう。久し振りのポーカーに血湧き肉躍る心持ちです。
ブエノスアイレスにある正規のカジノは、プエルトマデイロ (Perto Madero)の一つだけ。正面から見ると小奇麗なごく普通のカジノに見えます。しかし、この写真の一番右端にご注目ください。
右に周ってみると、川に係留されている船にカジノから渡り廊下が伸びています。そう、ブエノスアイレスのカジノは船上にあるのです。
市の法律ではカジノが禁止されているらしく、じゃあ川の上な!ここなら市じゃなくて国の管轄だからオーケーね!ってことで船上カジノになったらしい。
陸上部分はレストランやクロークとなっており、カジノフロアはもちろん船側。ポーカーがあるのは4階建ての最上階。一応表記としては10-25、25-25、25-50、50-100ペソに加え、2.5-5 USドルのテーブルが立つことになっています。実際はほとんどが10-25ペソのテーブルで、希望者が集まれば25-50ペソがたまに立つ、という状況らしい。
メンバーは地元の年配のおじいちゃんがたくさん。英語はあまり通じませんが、みんな和気藹々とした雰囲気で活気があります。トーナメントも週5回ほど開催しており、毎回なかなか盛況のようです。
プレイ傾向は、とにかくリンプの嵐。テーブル全体で、平均VPIP (いわゆる参加率) が50%ほどはあるでしょうか。それはまあ、古いポーカールームだとありがちなパターンです。特徴的なのは、フロップ以降は驚く程にタイトなこと。というか、ウィークです。何度トップペアを降ろし & 降りられたか分かりません。そしてもちろんパッシブ。
中にはこんなシチュエーションも。
Hero is BB with AcJc
UTG EP MP HJ CO BU SB limp 25 BB 250 UTG call others fold
Flop (650) BB 600 all in UTG fold
UTGのおじいさんはショートスタックで、650のポットに対し残り600。ぐぬぬぬうと唸りながら、A5sを投げ捨ててフォールドしたのでした。
自分にテルが出てるんじゃ無いかと心配になりましたわ。どうやら、みんなかなりパッシブなので、おのずとベットに対するコールレンジも狭まっていっているようですね。
この中で利益を最大化するためのプレイは、もちろん簡単ではありません。相手のウィークなリークを最大限突くためには、フロップまでは出来るだけコールさせ、ターンリバーでフォールドさせたい。しかしながら、相手のベットレンジはある程度容易に推測できても、フォールドレンジはプレイヤーによってかなり異なってくるものです。そこの見極めを誤ってブラフしていると、手痛いミスを喫することになりますからね。
とはいえ、ある程度戦略を準備して臨めば、このフィールドで勝つこと自体は難しくないと言えるでしょう。
もし仮にポーカーで生計を立てる、ということの難易度を地域別に考えた場合、ブエノスアイレスは意外にもトップクラスの環境と言えるかも知れません。ゲームのレベルはソフト、稼働時間も長く、テーブルも多く、生活費も高くない。
ステークスが低くポットも小さ目なので、Win rateとしてはある程度で頭打ちになるでしょうが、そのおかげかプロプレイヤーらしき人もあまり見当たらない様です。
ちなみにアルゼンチンの最大紙幣は100ペソ。なので、10-25ペソのステークスと言えど、ちょっと勝つと、こういうことになります。10,000ペソの札束に腰掛ける2人。ふはは。なんだかいつもより傲慢な顔付きに感じますな。
どれ、あまり勝ち過ぎるとアルゼンチンが再びデフォルトに陥ってしまうかもしれません。手に入れたペソで、肉汁したたるステーキを食べに出掛けるとしましょう。
~ ブエノスアイレスのポーカールーム情報 ~
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