イスラムの禁欲の果てには

1ヵ月半の地中海旅もいよいよ終わり。最後は優雅にドバイに寄って帰国です。アラブ首長国連邦を構成する一首長国であるドバイですが、砂漠の中に建った一大観光都市であり、今や世界でも屈指の金融センターでもあります。もうなんというか、景色からして金がありそう。

ドバイファウンテン

そんなドバイは世界一の称号が大好き。その象徴はこちら、世界一の超高層ビル、ブルジュハリファ。どう見てもバベルの塔を連想させます。てっぺんからレーザービームが撃ちおろしてきそうでもあります。

ブルジュハリファ

屋外展望台の高さは452メートル。きらっきらのドバイの街並みが眼下に見えます。なお入場料は事前予約で約4,000円。当日券だと12,000円。さすがドバイといったバブリーな値段設定。他の物価自体は極端に高いわけでは無いんですがね。

ドバイ夜景

頂上で待ち受けるのはこちら、ブルジュハリファのぬいぐるみ。ここらへんのセンスは普通の観光地ですね。僕らですら買わなかったこのぬいぐるみを一体誰が買うんでしょうか。

ドバイぬいぐるみ

隣接するドバイモールは、世界一大きなショッピングモール。その中にある水槽はもちろん世界一の大きさ。

ドバイ水槽

万事この調子で世界一を連発してきます。オイルマネーめ・・・。

さて、アラビア半島の先っちょにあるドバイ。地理的な位置こそ中東のど真ん中ではありますが、実はイスラム色はかなり薄い地域だそう。外国人も多く集まっているので自然とそうなってしまうのでしょう。とはいえ、せっかくエジプト、ドバイと短期間ながらイスラム文化に触れてきたので、思うところを書いてみようと思います。

イスラム文化に触れたといっても、モスクには正直あまり見どころはありません。建物は立派なのですが、中身はほとんどががらんどう。イスラム教は偶像崇拝が禁止のため、拝む対象になりそうなものは徹底的に排除されているのです。ただ、礼拝をするスペースがあるだけ。

エジプトモスク

ちなみにぬいぐるみを持つこと自体は問題ありません。これを拝んだり神聖視したりすると教えに反することになるそうです。日本の神道は万物に神が宿るとして何でも拝む対象にするので、ここら辺の感覚は僕らにはなかなか実感しがたいものがありますね。

それでもエジプト滞在中にはそれなりにイスラム文化を感じることがままあります。旅に来る前に僕がイスラムに対して持っていたイメージは比較的ネガティブ。金に卑しく、融通が利かないという印象でした。しかし実際に触れてみると、そのほとんどは誤解だったようです。

まず前提としてイスラム教が他の宗教と大きく違うのは、個人ではなく社会の在り方を説いているということ。日本の僕らが宗教と言って思い浮かべる仏教やキリスト教は、基本的に個人の内面の在り方を示しています。それに対しイスラム教では、クルアーンが定める行動規範を生活のあらゆる場面で実践することで良い社会を構築する、というのが基本理念にあるらしい。そのためイスラムでは政教分離が非常に困難で、宗教でありながら社会や政治の指針にもなるのは当然のことのようです。

イスラムが目指す社会像とは、唯一神アッラーのもと全ての人間が平等であるというもの。創始者ムハンマドが商人だったこともあり、イスラムでは正当な手段で金を稼ぐことはむしろ奨励しています。ただし稼いだ金は貯めこまず、公共へ還元すべしという理念。この理念そのものは日本人にも受け入れられるものだと思います。

ただし理念は良かれど、現実には歪められてしまっていることもしばしば。例えば、観光客が辟易するイスラム文化の代表格、バクシーシ。これはチップと寄付を併せたようなもので、小さな親切に対して小銭を要求してくるもの。エジプト旅行をしているとそれはそれはウザいほどにバクシーシをねだられます。

ここで似た概念として、イスラム社会を実現すべく教徒に課せられた義務の一つにザカートがあります。喜捨とも訳され、富裕者が貧困者に与える施しのこと。そこで、富裕者にザカートを果たす機会を与えてやる、とねじ曲がった解釈で生まれたのがバクシーシらしい。道を教えてやってバクシーシ。トイレで手洗いの水を捻ってやってバクシーシ。大きなお世話ですよ、もう。

また、日常的に触れる文化としてイスラムを特徴づけるのは、戒律の厳しさ。エジプトの街中でも女性はもちろんみんなヒシャブを被っています。

エジプト橋

これ以外にも豚肉食、飲酒、婚前交渉、利子を取ること、そしてギャンブル。これらは原則として禁止とされ、一見すると禁欲的な印象を持ちます。とはいえ、どこまで守るかは人それぞれ。一応コーランには人を騙さないとか書いてあるそうですが、エジプトでタクシーに乗ればすぐに分かります。ちゃんちゃらおかしいレベルで守られていません。豚肉食の禁止のみ、異常な厳しさで守られているようです。何なんですかね、その優先順位は。

クアルーンが書かれた当時はそれぞれ正当性のある戒律だったのでしょうが、現代社会に生きるには枷となることも事実なのでしょう。イスラム教徒は決して融通が利かないわけでは無く、それぞれがクアルーンの教えと現実でうまくバランスを取りながら生きているようです。

ここは一つ、地上最強の生物からのありがたいお言葉をぺたり貼っておきたいと思います。僕も禁欲の人間に対してギャンブル負ける気など毛頭ありませんからね。

禁欲の果て

最近話題となっているISISは、クアルーンの教えの一部分を頑なに守ろうとするために極端な方向性に走ったもの。多くのイスラム教徒はもちろん国際社会ともうまく折り合いを付けながら、ISISについては道を外れた異端として憂いているのです。

さて今回は、ギリシャから始まり北はスウェーデン、南はエジプトという見どころたくさんの旅でしたが、実は意外とポーカーも頑張りました。プチ上振れ万歳。

firepoicat  :  €19,300 / 173h
aileen         :  €2,000 / 119h

今後の予定はまだはっきりしていませんが、年明け頃にインドを覗いてみようかなと思っています。そして3月にはカナダのオーロラ!それまでしばらくは国内でゆっくりする予定です。

第八章 地中海旅ルート

街はシーシャで溢れかえる

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エジプトシーシャ売り

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