ドキュメンタリー 五人の子猫たち②

勝負の世界は結果がすべて。この言葉は厳しいようで、実はポーカープレイヤーにとっては甘い言葉でもあります。運が大きく勝敗を分けるポーカーにおいては、それこそ勝つチャンスは誰にでも。スポーツや他の勝負事と比べると実力以上の結果が出ることもしばしばであり、運良く結果を残したプレイヤーから都合よく使われがちな言葉でもあるのです。

ドキュメンタリーのゴールは7/下旬。ポーカーのプレイ時間でいえばせいぜいが500時間程度でしょう。ライブキャッシュはトーナメントと比べて遥かに実力が反映されやすいゲームですが、収束するための時間としては全く足りません。本企画でも短期的な結果を出すことに捉われ過ぎることなく、のびのびと挑戦をしていって欲しいと思います。

さて、そんな若武者たちの戦いもまずは前半戦。それぞれの手応えははいかほどでしょうか。

子猫の様子0608

便宜上5人を並べて見てもらっていますが、そこに順位があるわけではありません。仲間と切磋琢磨はしても、ギャンブルはあくまでも個人個人の勝負。それぞれが自分のやり方で奮闘してくれています。さあそれでは、一人一人の様子をお伝えしていきましょう。

”しま”

収支推移しま0608

 <概況>
最初の2週間はまずは$1-3で慎重に様子見。自身のプレイが十分に通用する実感を得て、5/下旬より$2-5に挑戦。移行したとたんにツキに恵まれ、瞬く間に$4,000以上の勝ちを積み上げる。ちなみに同卓したaileenからも$300を奪い取る。おい、覚えとけよ。
恨みの声が届いたのか、その後300bb負けの憂き目を2度も喰らう。体感的には$2-5でも通用する手応えを得た、しま。後はお願いだから下振れないで!

 <ハイライト>
ベラージオ$2-5プレイ中、テーブル上の会話でなんだかジャパンの単語が飛び交う。よくよく聞いてみると、体格のいい兄ちゃんは2年間日本で六本木に住んでいたらしい。何だか見覚えがあると思ったら、元読売ジャイアンツのエドガー・ゴンザレスじゃん!さすがラスベガス。
ちなみに彼からはポーカーで$400いただきました。野球は上手いけどポーカーはまだまだだね!

”しゃむにゃむ”

収支推移しゃむにゃむ0608

 <概況>
なんと開幕から10日間負け知らず。勝ち続ける日々で、気分良くポーカー資金を増やしている。完全に調子に乗っている顔である。しかし、最初が順調であるほど、へし折れたときにはいい表情を見せてくれるものなのだ。

 <ハイライト>
SBからJJで3ベットした時の事。BU(ボタン)の顔を真っ赤にした酔っ払いのアメリカ人がコール。フロップでこちらがベットする前に、何故か相手がチェックのアクションを見せる。不思議に思いながらベットすると、いきなりオールインしてきたじゃないか!

BU 20 SB 65 BU call
Flop(135) SB 85 BU 550 all in SB call
BU win

アングルストレート

先チェックの仕草はアングルシューティングと呼ばれる演技の一種で、弱い手を装って相手にベットさせようという姑息な作戦なのだ。とはいえこのパターンのアングルシューティングはかなり典型的なもので、熟練したプレイヤーに対してはむしろナッツ級の強い手を持っていることをバラすようなもの。

半年近くライブキャッシュに揉まれてきたしゃむにゃむなら、本来見破れるはず。だが・・・何故かコールしてしまうしゃむにゃむ!分かっている、分かっているのだ本当は。後から考えればイージーフォールドの局面なのだが、直面したその場で正しく判断するのためにはもう少し経験値が必要だったようだ。自分を殴りたいほどに落ち込むしゃむ にゃむ。これを授業料としてしっかり活かすんだよ。

”スティーブ”

収支推移スティーブ0608

 <概況>
他の4人より少し早くアメリカ入り。最初の1週間だけロサンゼルスに滞在し、その後ラスベガスに移動。
ロサンゼルスでは$5-10に挑戦しいきなり怒涛の$8,000負け!失意に溢れてラスベガスに移動するも、めげずに$2-5でコツコツと積み上げる。5/下旬には見事収支プラス転換を達成し、再び$5-10に挑戦できる態勢を立て直す。

 <ハイライト>
ロサンゼルスに到着するなり$2,000勝利し、アメリカなんてちょろいぜと浮かれるスティーブ。そんな彼に2ハンド連続で入ったのはKK。しかしなんと、2連続で相手はAAだったのである。あっさりと勝ち分$2,000を熔かし意気消沈する彼の卓に、何故か現地のプロたちが集まりだす。どうやらプリフロップオールインを繰り返す日本のカモが来たと思われているらしい。返り討ちを誓う彼を、下振れの大波が襲う。どうにもフロップナッツが仕事をしてくれない。ひたすらオールインで負け続けるのだ。

負けが$6,000に達したロサンゼルス最終日、この日もさっそくコインフリップで$1,000を失う。どん底の気分にあるスティーブに配られたのはJTs。フロップが開き、気付けば相手からオールインが飛んできているではないか。

フロップストレート

まごうことなき最強のストレート、即ちナッツである。ルールさえ知っていれば、何も迷うことは無い。高らかにコールを宣言するのみのはずが、脳裏に飛来する疑問。「おれはこれをコールしていいのか?」

そう、彼の精神は既に崩壊寸前だったのである。

魂が抜けたような1分が過ぎ、ようやく我に返るスティーブ。コールに決まってんじゃん!

慌ててコールするも、ハンドを開くと相手からは罵声が飛んでくる。スロープレイだ!そりゃそうだ。悪いことをしたのは分かっているが、テーブルから目を離すことが出来ない。そしてもちろん無残にも落ちるボードペア。フルハウスが完成した相手の勝利である。

少しの間、茫然。その間も相手は罵声を浴びせてくる。ショックのあまり謝ることもままならず、フラフラとポーカールームを後にするスティーブ。ロサンゼルス最後の夜、枕を濡らしながら眠りについたのだった。

それでも彼がこれまでくぐった修羅場に比べれば可愛いもの。何しろカジノにはピストルも無ければ命も盗られないのだ。めげずに頑張れスティーブ!

”ゆうへい”

収支推移ゆうへい0608

 <概況>
なんだか普通に勝っていっている。オンラインの超新星はさすがというべきか。妬ましくなるところであるが、本人が礼儀正しい好青年のためおっさん連中からも意外と応援されている模様。今回ある程度ツキに恵まれたならば、さらに上のステークスまでトライしてみてほしいところ。

 <ハイライト>
キャッシュゲームが順調なこともあり、WSOPイベント#10 $1,500 NLH 6maxにも挑戦。充分なアベレージスタックを維持して進むのはさすがWSOPイベントで、ライブトーナメントも楽しんでプレイできた様子。バブル付近でひたすら降り続けるおじいさん達のブラインドを奪いまくった後に迎えたデイ2。左隣に座るのはFedor “CrownUpGuy” Holz、最も勢いのある若手トッププロの一人だ。厳しい戦いになりそうだが、これこそラスベガスの醍醐味でもある。

最期は彼とトップペア同士でぶつかり合い、88位で終了。$3,200を獲得である。初のWSOP入賞は嬉しくはあるものの、負けた悔しさを隠しきれないゆうへい。まだまだチャンスは無限にあるからな!

”ケンスケ”

収支推移ケンスケ0608

 <概況>
まさに崖っぷち。ポーカーの世界は夢と情熱だけで勝てるほど甘くは無いということなのか。
ここはとうとう虎の子のウォン資金を投入するしかない!韓国で勝った時のラッキーマネーがここでも武運を呼び込んでくれることを祈る。

五人の子猫たちの奮闘振りはいかがだったでしょうか。毎日勝負の世界に生きることになった五人ですが、ギャンブルの勝敗など所詮は水物。だからこそ彼らには毎日の結果に一喜一憂してほしい。勝った日は小躍りし、負けた日は歯を食いしばる。せっかくのギャンブラー生活、存分に堪能して貰いたいものです。

おかげさまで、本ドキュメンタリーも予想以上の反響をいただいて嬉しい限り。みなさんから頂く応援のメッセージは子猫たちのとても大きな励みになっているようです。今後とも、温かく、また冷ややかに、彼らの行く末を見守りください。

次の経過報告は6/末頃を予定。続報を待て!

aileenは負けてます。ちくしょう

にほんブログ村 旅行ブログへ
あいりんやけ酒

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です