ストラテジーと帰納と演繹と


投稿者 : firepoicat

今回は、ポーカーのストラテジー構築について、少し真面目に書いてみようと思う。事の発端は、PokerStrategy.comに投稿されたある記事である。ポカキチの方であればご記憶に残っている方も多いだろうか。

一見すると良記事に見えるこの投稿だが、ポーカーライブキャッシュ仲間内ではあまり評判が良くない。僕自身もあまり賛同できない内容ではあるが、ポーカーを知的ゲームとして研究する上では興味深い示唆が含まれているのではないだろうか。これを紐解く鍵となるのは、帰納法と演繹法の概念だ。そこで今回はこの記事に抱く違和感を分析し、自分なりに思うところを書いてみたい。

 

ポーカーのストラテジー構築において、その手法は大きく2つに分けられる。帰納的手法と演繹的手法である。

帰納的手法とは、個別のハンド毎の収益推定を積み重ねることでストラテジーを構成すること。これに対し演繹的手法とは、ストラテジーの全体像を決定したうえで、詳細なハンドの内訳を詰めていくことである。具体例を交えて、両者についてもう少し詳しく説明していく。

ポジションHJでオープンレイズするハンドレンジ構築を考えてみよう。一般的なライブキャッシュにおいて、僕自身のオープンレンジは概ね24%で以下のようなものである。なお、特にライブキャッシュでは相手によって極端にプレイが変化しがちなので、あくまで平均として捉えていただきたい。

ハイジャックオープン

このハンドレンジに辿り着くまでの過程を、帰納的手法と演繹的手法でそれぞれアプローチしてみたい。

帰納的手法では、個別のハンドごとに収益を推定し、利益的とされたハンドの集合がオープンレンジとなる。例としてQ9sを見てみよう。これを3bbでオープンした場合、利益的となるのであろうか。まずは相手のハンドレンジを元に、起こる事象とその後の状況の頻度分布を予想する。

その後の状況シミュ

この状況が利益的なのかは結局のところ体感に依るしかないが、自分は充分に利益的だと判断し、オープンレンジに採用している。このようにして各ハンドの採用不採用を判断していくと、結果として上記のハンドレンジ24%が出来上がる。もっとも、こんな面倒くさいことを実際に計算しているわけではもちろん無い。あくまでこういう概念のもと、多くは経験によって利益的がどうかを判断するのだ。

演繹的手法では、最初にオープンレンジの数字、すなわちこの場合24%を決定することから始まる。決定の根拠は様々あろうが、一つのやり方としては、トラッキングソフトで成績の良いプレイヤーのデータを参考にするというのがあるだろう。オープンレンジの数字24%が決まれば、あとはバランスを取りながら内訳を詰めていくのだが、この過程も様々であろうから別書に譲ろう。まあ要は、強い人のスタッツかsnowieあたりをパクるということだ。

このように、同じハンドレンジに至るにしても、帰納的手法と演繹的手法ではその思考の過程が全く異なる。両者は一長一短であり、どちらが優れているというものではない。繰り返し現れるシチュエーションに対しては演繹的手法が特に有効であるし、多様なシチュエーションに対応していくためには帰納的手法がどうしても必要である。また、本来両者は補完しあうものである。

一般的な傾向としては、オンラインポーカー、とりわけZoomのような形式にとっては演繹的手法が非常に効果を発揮する。利益的と思われるハンドレンジを推定するためには膨大なハンドヒストリーが強力な武器になるし、類似なシチュエーションが多く、データのノイズが少ないことも好条件である。ゲームレベルが高いフィールドでわずかなエッジを研ぎ澄ましてゆくためには、この演繹的手法が欠かせないと言える。

ライブキャッシュにおいては、帰納的手法が重要である。ハンド数が少ない、ヒストリーを記録できず経験と体感に頼らざるを得ないという事情もあるが、それ以上に対戦相手のリークが大きいことに注目せねばならない。ライブはオンラインに比べプレイヤーレベルはかなり低く、大きく様々なリークが存在する。その場合一般解を研ぎ澄ますことよりも、個別シチュエーションに対する特殊解を突き詰めることがより重要となり、それには帰納的手法で臨む必要があるのだ。

 

私見として述べさせて貰えば、昨今は演繹的手法がもてはやされ、帰納的手法が軽視される風潮があるように感じる。オンラインポーカーの台頭、レンジという概念の導入、最適戦略やナッシュ均衡などの言葉(だけ)の浸透などと無関係では無いだろう。

演繹的手法において気を付けたいのは、How toだけが身に付き論理的思考力を欠いてしまうケースである。そしてこれこそが冒頭紹介した記事に抱く違和感の正体である。フロップは70%、ターンは65%でコールするだって?そこには何の根拠も示されておらず、彼はまさにHow toだけを身に付けているのだ!

厄介なことに、短期的な成績向上だけをみれば、このHow toを身に付けるというのは実際のところ効率的なのである。しかしそれではいつかは伸び悩んでしまうだろう。何よりも、自分の頭で考え、試行錯誤し、研究し、計算し、議論し、そのうえで金を奪い合うのがポーカーの楽しみというものだ。

オンラインというレベルの高いフィールドでの成績は悪くないのに、遥かに格下のはずのライブキャッシュで何故か思うようにいかない。そんな体験談が巷に溢れているのは、本当に下振れや単なる適応不足なのであろうか。もしかしたら、ストラテジー構築の手法そのものという根の深い問題なのかもしれない。

 

さて長々と書いたが、この投稿の真意はもちろん、僕の大好きなライブキャッシュを推すためである。ライブキャッシュとは、ストラテジーを構築するためにより論理的な思考力が必要とされる、奥深いものなのだ。

さあ、あなたもカジノへ繰り出そう。

 

ポーカーがマインドスポーツだって?はっ!
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